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此処は、幻想楽団Sound Horizonの5th story CD「Roman」に             登場するキャラクター達が織り成す妄想手帳。                     くだらないネタで宜しければ、お話ししてさしあげましょう。              初めて御入室下さいました方は、「取扱説明書。」を御一読下さいマセ。
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暖炉に灯った光が部屋を照らすが、隅々までは届かずに薄暗い。
何処からともなく風が入ってくるのか、絶えず蝋燭が頼りなく揺れ、窓もカタカタと音を立てる。
その窓際にあるベッドの上で、雪のように白い少女が傍らにあった絵本を持ち上げる。
だがそのベッドは、大の大人が乗ったら壊れそうなほどに脆く。
少女が少し咳き込むだけでも大きく軋んだ。


「ねぇ、パパ」

「なんだい、エル」


仮面を手に持ったパパと呼ばれた男、その名をアビス。


「今日は絵本、読んでくれないの?」

「すまないね、エル…」

「お外は雪が降りそうなのに?」


エルと呼ばれたその少女は、穢れを知らない澄んだ瞳で空を見上げた。
アビスはエルの頭を撫でる。
手の優しさとは裏腹に、顔は悲しく歪んだ。


「……帰ってきたら、沢山読んであげるよ」

「うんっ、待ってる!」


悲しい程に純粋なその笑顔。

『決して曇らせてはいけない』

そう心に誓い、アビスは仮面を着ける。
そして重くて冷たい扉をゆっくりと開け、一歩外へ踏み出す。


「パパ、いってらっしゃい!」


愛しい娘のその声を胸に、アビスは破滅の道を歩みだす。

そう。

これから待つ、哀れで悲しい、悲劇的な物語へと。



「其処にRomanはあるのかしら?」





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エル「パパ、シアちゃんからお手紙が着たの…」

アビ「ほう、見せてごらん?」

エル「はい、パパ」

エル「ねえ、パパ」

アビ「なんだい、エル?」

エル「私、ティーセットが欲しいの…」


アビス、ティーセットを買いに走る。

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