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暖炉に灯った光が部屋を照らすが、隅々までは届かずに薄暗い。
何処からともなく風が入ってくるのか、絶えず蝋燭が頼りなく揺れ、窓もカタカタと音を立てる。
その窓際にあるベッドの上で、雪のように白い少女が傍らにあった絵本を持ち上げる。
だがそのベッドは、大の大人が乗ったら壊れそうなほどに脆く。
少女が少し咳き込むだけでも大きく軋んだ。
「ねぇ、パパ」
「なんだい、エル」
仮面を手に持ったパパと呼ばれた男、その名をアビス。
「今日は絵本、読んでくれないの?」
「すまないね、エル…」
「お外は雪が降りそうなのに?」
エルと呼ばれたその少女は、穢れを知らない澄んだ瞳で空を見上げた。
アビスはエルの頭を撫でる。
手の優しさとは裏腹に、顔は悲しく歪んだ。
「……帰ってきたら、沢山読んであげるよ」
「うんっ、待ってる!」
悲しい程に純粋なその笑顔。
『決して曇らせてはいけない』
そう心に誓い、アビスは仮面を着ける。
そして重くて冷たい扉をゆっくりと開け、一歩外へ踏み出す。
「パパ、いってらっしゃい!」
愛しい娘のその声を胸に、アビスは破滅の道を歩みだす。
そう。
これから待つ、哀れで悲しい、悲劇的な物語へと。
「其処にRomanはあるのかしら?」
終
―後書みたいな言い訳?―
たまには趣向を変えてみたり。
なんとなく、書いてみたくなったのでちょこちょこと。
といっても、久しぶりに文なんて書いたからなぁ(´v`;)
書き方忘れてるわwww
これからも、小話的なものもちょこちょこ書いてみたいッスね。